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日々雑感

幸せは日々の、雫のような時のなかにある。
毎月、つれづれなるままに・・・
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烏瓜 早朝散歩
 

日々雑感           渡辺範子

「 烏瓜、なんともいえない魔法の花なのよ、絹のレース糸で編んだような、それはそれは感動したわ」

などと初めて見たときの思いを伝えていたら、ある日、若い友人が真っ赤に熟れた烏瓜の実を持ってきてくれた。

よく乾いて中でからから音がする。蔓やいくつかの実と一緒にドライフラワーとして好きな銅製の器に入れて楽しんでいた。

夫がその種を取り出して植えておいてくれた。

すっかり忘れていたが、その種が芽を出し台所の窓際から庇まで長くのびていた。

 

ひと月あまりの入院で養生を言い渡された私は、今までのまるでこまねずみのような時間に追われた日々が一転、食事の時間が最も長く重要な時間になり、あとは体調に合わせて、家事、休憩、読書、書き物、園との連絡というような日々になった。

その後早朝の散歩が加わったがシンプルで赤ん坊のようなリズムの生活だ。

夫に勧められた散歩コースは大体5000歩、まだ夜が明ける前に家を出て一時間ほどゆっくり歩く。

陽が上り始める。風景は毎日違う。朝焼けの雲が刷毛で描いたように流れてまさに東雲色、そこにうっすら朱や薄グレーがかかってなんともいえない美しさであったり、曇天での墨絵のような時もあって、これもまた素晴らしい。休憩を挟みながらゆっくり歩く。

植物も私の目を奪う。早朝の朝顔は青色、百日紅の濃い赤は夏にぴったり、暗い森の入り口のような鬱蒼とした坂道は、ほんの数十メートルなのだが登山気分で歩く。木々の名前を覚えたり、太い根っこに感動したり。

落ちた白血球の値が上がっていくようないい気分で歩く・

我が家の植物たちも長い間雨のない中、よく茂り、ノーゼンカズラは2階のベランダを覆い日陰をつくってくれる。

ベランダは私の入院中、夫が一人で長い材を下から運び上げこつこつと基礎を補強し張り替えたのであと三分の一を残して7年前の床が新しくなり「もうこれで、あと10年は持つぞ、ここで風を受けながら読書、最高やぞ」と悦にいっている。

この作業で74歳の体は、かなり スリムになったが達成感は充分夫のエネルギーになっているようだ。

柚子が青い実をつけ、白い花を楽しませたエゴも可愛い実をつけた。残念なのは楓がカミキリムシにやられて枯れたこと。

私の武蔵野と名づけて隣の柘榴とともに秋の落葉を楽しんでいたのに、今年は春の新芽の美しさを最後に茶色く縮んで枯れてしまったのだ。

さて、烏瓜が蔓を伸ばしているのを見て私は興奮した。

「ここに植えてくれていたの、知らなかった」と私、「どこ 見てたんや」と夫。そうねえそういえば見えてなかったのかなあ、ちょっと立ち止まるだけで発見がまだまだある。知らないことがいっぱいある。見えなかった喜びがみえてくる。

それは案外さりげなく身近にある。

烏瓜を見て興奮したのは、花の蕾をみつけたからだ。

夜しか咲かない花に会うために、就寝前、私は懐中電灯片手に外へ出た。蔓は高く伸び光の中に花は見えない。見つけたのは翌朝蕾んでしまった小さなレースの玉。

翌日、また翌日も、ところが、とうとう目星をつけた位置に魔法の花が咲いているのを見つけた。

夫を呼び出し「ほらあそこ」小さな花びらを囲むように、ふよふよと綿のように細い糸が花弁の先から広がっている。

なんて幸せ、生きている喜び。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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