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日々雑感

幸せは日々の、雫のような時のなかにある。
毎月、つれづれなるままに・・・
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秋のころ

      空気が透き通ってきたのがわかる。風が心地良い。
深呼吸すると身体の芯までこの季節に変わるような気がする。
夫がたわわに実った柘榴を壷に入れて玄関先においた。
緑のどんぐりが可愛い姿を見せているのを散歩途中でみつけた
 いいものだ。
自転車を停め、角先で立ち話をしていく初老の男性。
「生まれて7ヶ月の三毛猫が行方不明になった」とおっしゃる。
なかなかの音楽通、「ベートーベンのクロイツェルよろしいなあ」などと、
かと思えば、お揃いのスクーターにのった小学生がやってきて
「おばちゃん!本読んだよ、ハリーポッター100ページまでいったよ」
「あら、すごい、うれしいわ、本好きな子がふえてほしい」と私。
ゲームやめられないと言ってた子なのに、5年生3人組のMちゃん、SちゃんKちゃん。
 こんな時の流れ方、いいものだ。

夜になって雨音がしはじめた。
読みたかった本を開く、静かな雨音、わざと音をたててページを
めくる。あと少し、あと少しと夜が更ける。
いつもよりゆっくり家事をして、いつもよりゆっくり料理して、訪ねてくださった人とお喋りして、笑って。
ごみをまとめて出して、届いた郵便物を開いて、木を削っている夫の作業の音を聞きながら拭き掃除して。
茶色くなって落ちたぶどうの葉、代替わりした樫の葉など 庭の落ち葉を箒で集めて・・・・・
ショウリョウバッタが驚いて跳びだした。「おや、おまえ今頃、生まれてきたの、寒くなるよ気をつけて」などと声をかけて、くすっと笑う。
いち早く染まりだした葉先をを恥らうように楓がそよぐ。
 いいものだ。いいものだ。

 日ごろは時間との格闘,アッパーカットでダウン寸前、見事に持ち直して
なんて感じのあわただしさ。気がつけば月日が流れている。
過ぎ行く時間に勝てるわけがない。
見落としたもの、感じないまま通り過ぎたこと、会わなかった人、
大切なものを失っていたかもしれない。
珠玉の時を人は誰もがもっているのだ。
時々そっと取り出して、柔らかな心で磨かなくてはすぐに曇っていくのだろう。
 北原白秋に魅せられたころがあった。
きっかけは大詩人の若い頃をモデルにした小説だった。
中学生の北原隆吉が純粋な魂の痛みに悩む。
未熟で壊れやすい青春群像が描かれていた。
遠い時代を夢のように追い求めて、もっと幼い自分をその時代の若者に
投影させてその小説を読んでいたように思う。高校一年生だった。
日記に隆吉という名前をつけて彼に語るように日々の出来事をしるした。
白露という言葉もそのとき知った。白秋は秋の異名、白露は秋の季語。
透き通った季節を憧れた若者 隆吉と親友 鎮夫の芸術への目覚め、
お互いを白秋、白露と呼び合う場面が眼に浮かんで乙女心はふるえた。
白秋の詩をそらんじて、自分も詩人の気分でいた。
恥ずかしいほど幼いころ。
 雨音が遠い日を連想させた。

秋の連休、若い頃なら子どもをつれてどこかへ飛び出していたかもしれません。
老いてくると、いえ熟してくると心が飛び出すのでしょうか。





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